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「高我君、じっとしていてくださいね。安心してください、頼まれたからには完璧に仕上げます!」
「ほらセイラ様のためのメイド服で御座います。寸法はしっかり合わせています」
リサインの外壁前の馬車の中、ミヤネさんとサリル先生が俺には悪魔に見えた。ミヤネさんはメイド服を両手に持って怪しく笑い、サリル先生はメイク道具を用意して怪しく笑っている。
誰かこの二人を止めるか、俺を助けてくれ!
「いつ合わせたんだよ!?ていうか寸法なんていつ計ったんだよ!?」
「グフフッそれは秘密です」
「なんか怖えよ!」
「わたくしは、見れば寸法がどの程度かわかるだけです。さあ着てください。着方が分からないというのなら、着せて差し上げますが?」
「私のほうは準備万端ですよ!早くしてくださいね!」
サリル先生の準備が万端でも、俺はまだ準備万端じゃない!今目の前に立つ二人が恐ろしくて仕方ない。
「女装をさせてほしいと言って先生をここまでお連れしたのは、セイラ様で御座います。覚悟は決まっていたのでは、ないのですか?」
そうだ俺が頼んで、メイクをするためにサリル先生もこんな所まで来てくれたんだよな。女装する覚悟も決めてたはずだ。先延ばしにしたって仕方ない、そんなことをするなら最初からやるなって話しだ。
「………サリル先生、ミヤネさん、メイド服に着替えるのでちょっと出ててもらえますか?」
「それには及びません。もう着せ替えさせていただきました」
「え?」
ミヤネさんのその言葉を聞いて自分の姿を見る。すると俺が着ていた服は学園の制服ではなく、ミヤネさんと同じ白色と紺色のメイド服になっていた。
そういえばミヤネさんは一瞬で着せ替えることが出来るんだったな。
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