試練の始まり

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「それでいきましょう。よろしいですか、セリネちゃん」 なんだか勝手に命名されてしまった。まあ、どうせ他に良い案があるわけでも無いしいっか。 ………なんだ、ミヤネさんが勝ち誇ったような、何か企んでいるような表情をしてるな。その俺を見下した顔イラつくんだけど、なんでそんな顔してるんだ? 「別にいいよ。………ミヤネさん、その顔はなんだよ?」 「セリネちゃん、言動を改めてください。メイドになったからには、わたくしは先輩です。それに声も女性らしく」 そういうことか、ミヤネさんはそれでそんな顔をしてたのか。 潜入するには俺はメイドになりきらないといけない。ミヤネさんに対して変な言葉遣いはできない。 そして潜入するときは、俺はミヤネさんに連れられて来たメイドということになる。 状況をまとめると、俺はミヤネさんに敬語などで話さないといけない。俺はミヤネさんの言うことにほぼ逆らえない。 俺のことが嫌いなミヤネさんにとっては、最高の状況だ。 あぁ~もう仕方ない!さっきから感じるこの感情をどうにかするためだ!それに女装したんだ、なんでもやってやるよ!! 「すいません、ミヤネさん。このような感じで良いですか?」 にこやかにミヤネさんに微笑んで、女性らしい声で言った。自分では精一杯やったつもりだけど、どうだ? ミヤネさんの顔を見ると目を見開いて口を半開きにし、小さな声で何か言っている。 「おぉおおおおおお姉さんと………」 「はい?」 ついに頭が変になったのかこの人?やっぱりどこか病院に立ち寄ってあげるべきだったんだ………。なんか、目が普通の人の目をしてない、異常な目をしてるな。 「いえ、ミヤネ姉さんと言ってみてください!!可愛いらしく言ってみてください!!」
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