試練の始まり

8/131

78人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
「はいぃ!!?なんでだよ!!絶対いっ!?」 首を刎ねられると思わせるほどの勢いで、俺に向かって振るわれたミヤネさんの箒。いや、薙刀と言ったほうが正しいな。 それは首の皮を斬る寸前で止まった。薙刀を辿るようにミヤネさんを見ると、その表情は人を人とも思ってないような残忍で冷たい目をしていた。 「嫌とは言わせねえで御座います。さっさと声をもとに戻して言いやがれです」 み、みミヤネさんが壊れたあ!!?どうしたんだよ!やっぱり頭が変になってしまったんだな。俺が早く病院に連れて行っていれば………。 「………ミヤネさん?どうしたんですか?」 サリル先生がミヤネさんの様子に肩を震わせて怯えてる。凶変してしまったミヤネさんを心配するような表情で、瞳には涙が溜まっている。 とりあえず、ミヤネさんの言うとおり……言ってみるか。 「……み、ミヤネ姉さん………」 「ふああぁーっ!!」 薙刀がもとの箒に変わって首から離れ、消えた。そしてミヤネさんは頬を赤らめて笑顔を浮かべて、俺を抱きしめた。 「ちょっミヤネ姉さん!?」 「可愛いのです!最高に可愛いのです!お嬢様の次に可愛いので御座います!!妹なのです!ギュッと抱きしめても良いですか!いえ、もう可愛い過ぎて抱きしめていました!!」 今、俺の中のミヤネさんの印象が轟音を立てて崩壊した。そして一つの結論が出た。 ミヤネさんはこういう人なんだ。という結論が。 だ、誰か助けてくれぇ!サリル先生。そうだサリル先生に助けを! ミヤネさんの柔らかい胸に埋もれながら俺はサリル先生を見た。 「ふぅ、ミヤネさんが壊れてしまったのかと思いました。でもそういうことなら正常ですね」 いやいやいや!異常だろこれ!何を見て言ってるんですか!?どう見たって、ミヤネさんは異常ですよ!だからお願い、助けてくださいっ!! ホッと肩を撫で下ろしてる場合じゃないですって!!
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加