偽善のピエロ

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上代 波鈴の視線を浴びながらも、俺は普通に眠った。 上代 波鈴は転校して来てから人懐っこい性格もあって人気者になった。が、どうしてかいつも俺ことをチラチラと見ている。 あれ、上代 波鈴には存在法が通じてないよな?事故の時に記憶に焼き付いたか? 時折そんなことを考えつつ、流れるように退屈な日々は過ぎていく。 それから一カ月が経った頃、休日に食材の買い出しに行っていた。すると、毎度のごとく車が突っ込んでくる。 「うわっ!?」 何故か、上代 波鈴まで………。こいつ、また転けたのか。はぁ………仕方ないな。 上代 波鈴を抱きかかえて、速く数歩移動する。そして背後を車が通り過ぎた。上代 波鈴を抱きかかえたまま、歩道まで歩く。 「こ、こんな所で奇遇だね!また助けてもらっちゃったよ」 「んじゃあな」 「あっもお!」 上代 波鈴を下ろして再び歩きだした。その俺の後を上代 波鈴は、寝癖の髪を無理やり一つに結ったような髪を跳ねさせるたびに、紐に付いた白い鈴を鳴らしながら、後ろで手を組んで着いて来る。 「ねえ、君は何かスポーツとかしてるのかな?」 「……………」 無視してスーパーに入り、カゴを持って食材を選ぶ。え~と、今日の晩飯は何にしようか? 「ねえ、君はどうして影が薄いのかな?」 「……………」 無視したまま食材の入ったカゴを持ってレジに並び、会計を済ませる。食材をビニール袋に入れる作業を、何故か上代 波鈴が手伝う。 「ねえ、君はどうしていつも紗夜ちゃんと一緒にいるのかな?」 「……………」 食材の入ったビニール袋を俺が一つ、上代 波鈴が何故か一つ持ってる。そのせいで店員から中学生のカップルと思われた。 「ねえ君は髪が半分くらい白いけど、染めてるのかな?」 「……………」
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