78人が本棚に入れています
本棚に追加
/457ページ
上代 波鈴の視線を浴びながらも、俺は普通に眠った。
上代 波鈴は転校して来てから人懐っこい性格もあって人気者になった。が、どうしてかいつも俺ことをチラチラと見ている。
あれ、上代 波鈴には存在法が通じてないよな?事故の時に記憶に焼き付いたか?
時折そんなことを考えつつ、流れるように退屈な日々は過ぎていく。
それから一カ月が経った頃、休日に食材の買い出しに行っていた。すると、毎度のごとく車が突っ込んでくる。
「うわっ!?」
何故か、上代 波鈴まで………。こいつ、また転けたのか。はぁ………仕方ないな。
上代 波鈴を抱きかかえて、速く数歩移動する。そして背後を車が通り過ぎた。上代 波鈴を抱きかかえたまま、歩道まで歩く。
「こ、こんな所で奇遇だね!また助けてもらっちゃったよ」
「んじゃあな」
「あっもお!」
上代 波鈴を下ろして再び歩きだした。その俺の後を上代 波鈴は、寝癖の髪を無理やり一つに結ったような髪を跳ねさせるたびに、紐に付いた白い鈴を鳴らしながら、後ろで手を組んで着いて来る。
「ねえ、君は何かスポーツとかしてるのかな?」
「……………」
無視してスーパーに入り、カゴを持って食材を選ぶ。え~と、今日の晩飯は何にしようか?
「ねえ、君はどうして影が薄いのかな?」
「……………」
無視したまま食材の入ったカゴを持ってレジに並び、会計を済ませる。食材をビニール袋に入れる作業を、何故か上代 波鈴が手伝う。
「ねえ、君はどうしていつも紗夜ちゃんと一緒にいるのかな?」
「……………」
食材の入ったビニール袋を俺が一つ、上代 波鈴が何故か一つ持ってる。そのせいで店員から中学生のカップルと思われた。
「ねえ君は髪が半分くらい白いけど、染めてるのかな?」
「……………」
最初のコメントを投稿しよう!