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「停止って言ってるが、殺したのと違いもないし。解放って、殺しを正当化したいだけだろう。笑えるよ!」
「フフッアナタは、そう思うんだ。ワタシはアナタを気に入った、敬語は使わなくていい!」
「あっそ、一つ言っておくよ。罪悪感なんて感じてねえから」
昨日家に帰って、殺した瞬間、肉を貫いた手の感覚、生暖かい血の付着した手の感触を思い出した。
いくら思い出したって、殺した人に対して俺は罪悪感なんて全く感じなかった。
「人を殺したことは?」
「ねえよ、有ったら少年院だろう」
「そうだった!」
顔の見えない数無さんに、わざとらしい話し方をする人だという印象を感じた。その後無駄な話しを聞き流していると、車が止まった。目隠しをしたまま、おそらく建物の中に連れて行かれた。
そして目隠しが外される。
「どうだい?素晴らしい研究施設だと思わない」
「さあ?不気味だとしか思わねえよ」
数無の背後には様々な機械と白衣を着た人、薄黒い液体の中に入れられた人達。不気味以下の何を思うんだよ?
「そこに入ってるのがクガか?」
「それはまだ違う、調整中のヤツだ。簡単に言うと、それが失敗すると、自我が狂い殺戮を始める。そうして狂いし自我、狂我(クガ)となる」
「へぇ~」
「アナタにはクガを処分してほしい。勿論、その証拠となるものは全てこちらで隠蔽する。それなりの金額も払う。ワタシに雇われない?」
「所長!?」
「こんな子供に!」
周りの研究員達が騒ぎ出した。当然だな、所長だろう数無さんがこんな中学生を連れて来たと思ったら、失敗作を殺してくるないかって頼み出すんだからな。
「クガを野放しにしてたら」
「危険だ。アナタの友達も家族も殺されるんじゃない?」
「ならやるよ」
持て余してたこの力でみんなを守れる。役立てられるんだ。迷う必要なんてない。俺に出来ることならやるよ。
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