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──あぁ、終わったのか。
閉じている瞼の隙間から、微かに光が漏れてくる。
ん? おかしいな。最後は真っ暗になったはずだが……。
ゆっくりと重い瞼を持ち上げる。目の前には木、木、木。
デジャブだ……。前にも同じような事があった。
そんなに昔の出来事では無いのに、何故か何十年も前にの事に思える。
前と違うのは、何かに寄りかかっているところか。そういえば服装も違うな。
ふと、見慣れない物が腰の右側に付いている事に気づく。装備した覚えの無いホルスターには、漫画や映画で出てくる昔の海賊が使ってそうな拳銃がぶら下がっていた。
この銃……そうか、あいつか。
左手を自分の胸に当てる。力強く、温かいものを確かに感じた。
と、なると今寄りかかっているのは……。
首を捻って後ろを見る。そこには、爬虫類を思わせる身体に翼のある大きな生き物が、目を瞑って寝そべっていた。
思わず笑みを浮かべてしまう。
あぁ、良かった。まだ一緒にいられるんだな。
再び目を閉じる。何も考えずに、ただ幸福感に浸りながら──。
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