第1話

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何でだよ、なぁ 目を覚ましてくれよ 俺の不注意だ。 俺がもっとちゃんと、お前を知ろうとしていれば、こんなことにはならなかった お前を、こんなに苦しめることはなかった筈だ。 いつも 守られてばかりだ 肝心のことは何も言わず、深い所に立ち入らさせず、 自分のちっぽけな傷とプライド そんなものを守ってどうする? 何にもならない。意味がない。 自分が傷つくのを恐れ、相手を傷つけ 何を守れた? いつも大事なモノは、失いかけて、やっと気付くんだ。 何度も、何度も、見てきたはずなのに。 安心 安寧 あたりまえ それがどれだけ大切で、かけがえのないものか、知っていたはずなのに それを守るために、努力して強くなりたかった。それなのに ごめん、そう言うことしかできなかった。 周囲に気を遣わせたくないし、何より、お前のムリした笑顔を見たくなかったから。 強くなりたい。 改めてそう思った。 ただ漠然とそう思ってた日よりも、明確に、確実に。 お前が 少しでも長く 笑っていてくれるように 本当に愛したものを もう二度と、手放さなくていいように…
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