第1話

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心にもねぇこと言っちまう 忙しい中、俺のために時間を割いてくれてんのに 頭では分かってんだよ 仕事で疲れてても、眠くても、そんな顔見せなくて、笑いかけてくれて、 俺は 気の利いたことなんて言えなくて、 ただそっけなく返すしかできない その時の、少し淋しそうな表情が、儚げな笑顔が嫌いで。 そんな顔をさせる自分も嫌いで、 でも、素直になれなくて。 もどかしくて はがゆくて、 どうすればいい?なんて、答えの出ない自問自答をして まだあまり、実感できてないかもしれない お前が 恋人だってことに。 お前は 遠い人で、高嶺の花で、 そんな人が今、手を伸ばせば届く所にいるなんて。 このままじゃ、 また、手の届かない所に行ってしまう もう 触れることのできない所へ。  そんなの、嫌だ カッコ悪くても、ダサくても、みっともなくても、 お前を引きとめるためなら、なんだってする だから、行かないで 傍にいて欲しいんだ
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