【Ⅲ】歓迎会を開いてもらいました。

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【Ⅲ】歓迎会を開いてもらいました。

 あの衝撃的な出会いから数日経ったある日、レイモンドがオルガの歓迎会を開くことになった。 メイド長であるアナスタシアの下で様々なことを学んでいるオルガだったが、覚えることは山積みでいくらあっても時間が足りない。 服装の件については、意外にもレイモンドはオルガの意向を汲んでくれ、執事服を支給してくれた。 白と黒のストライプ柄のシャツに半丈パンツ、ウエストが緩めだったこともあり、革製のサスペンダーを特別支給された。 首元にはワンタッチで留められる蝶ネクタイが締められている。 オルガ用に、と宛がわれた自室。 一日の業務を終え、ベッドサイドに腰を下ろしたオルガは深いため息をつくと決まって考えることは、あの黒髪の主人のこと――  身のこなし、漂う品格は男のオルガから見ても文句のつけようがない程惚れ惚れするものだったし、彼と廊下をすれ違うだけで、そのオーラに呑み込まれる感覚に陥る。 そんな彼の『素顔』はどのようなものなのだろう。 情報から照らし合わせてみても、彼の素顔がブ男でないだろう。もしそうだったとしたら、オルガは一週間は寝込む自信がある。 (仮面か……案外、仮面を取ってみたら目が点だったりして!……いや、それは流石にないか)  ――がちゃっ! 「オルガ君、行くわよ!」 「ひっ、うっひゃあっ!!」  突然ドアが開くと同時にアナスタシアが部屋に入ってきた。 考え事をしていたということもあって、あまりに突然のことにオルガの鼓動は大きく跳ねた。  
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