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【Ⅳ】掃除していたら地下室を見つけました。
使用人生活も一通り慣れ、アナスタシアからの小言の数も減ってきたこの頃。
「オルガ君、今日からレイモンド様の自室の掃除は、あなたひとりに任せるわ」
「えっ、僕一人でですか!?」
「ええ、あなたの仕事ぶりには目が見張るものがあるわ。
だから、大抜擢♪
……というのも、これまでレイモンド様があまり素性の分からない者に自室をうろつかれるのを極端に嫌っていたからよ。
あなたなら安心して任せられるみたいね」
「えっ! そ、そうなんだ……なんだか嬉しいです…」
オルガは照れながら頬を紅潮させた。
仕事ぶりを褒められるなんて、以前のオルガなら全く考えられなかったことだった。だから素直に喜んだ。
「あーん、やっぱりオルガ君はかわいいっ! もうっ、食べちゃいたいっ」
アナスタシアはオルガを抱き寄せ、豊満な胸をぐりぐりと押し付けてくる。
あまりにも唐突に訪れた幸運に心拍数が跳ね上がるも、そこに訪れたのはまさかの窒息の危機。
「ふぐっ……もがっ…! ……っぶ!」
身体を大きくばたつかせ、もがき、滞りから顔が真っ赤になり、しまいに目を回した辺りでようやくアナスタシアはオルガの異変に気付いた。
「…………? あらやだ、オルガ君?
……オルガ君っ! オルガ君っ!」
「……はにゃ、……はひぃ、だい、じょ、ぶです……」
酸欠寸前だった身体は本能に求められるままに酸素をとりこんだ。
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