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「オルガ様でいらっしゃいますわね?
わたくしはこのライデュース城のメイド長として働いているアナスタシアですわ。
――以後、お見知りおきを」
柔らかな微笑みと、会釈した時にふわりと掠める石鹸の匂いにオルガは思わず頬を赤くした。
「……よ、よろしくお願いします」
林檎のような紅と銀をかけた肩までの美髪は絹のように光り、白磁を連想させる白い肌と対照的な燃えるような唇は瑞々しく艶を帯びている。
一際目に付くのは、彼女の鎖骨から下に実るたわわな二つの膨らみ。
エプロンドレスの上からでもはっきりと視認出来るほどのバストを前に目のやり場に困り、思わず視線を逸らした程だ。
間髪空けずにくすくすと笑いが起きたことで、オルガは自分の浅はかな感情を悟られたと思い、恥ずかしさに俯いてしまった。
「……あらあら、予想以上にずいぶん可愛らしい方ですわね。
レイモンド様もお喜ばれになりそうですわ――ささ、謁見の前にまずはバスルームに案内いたしますわね」
(可愛らしい……かぁ、とほほ)
複雑な心境を抱えながら、オルガは案内されるままアナスタシアの後を黙ってついていった。
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