黒い炎

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あいつ……落ち込んで自暴自棄になってんじゃないんだろうな!? そう心配していたら病室の扉がパタンと開いた。 入ってきたのは朝霧だった。 朝霧は少しよそよそしくて元気がなかった。 だが俺達が揃っていることを確認すると、奴は側にきて一緒にテレビを見だした。 俺は少しホッとした。 内心、朝霧が誰にも告げずに姿を消すんじゃねえかって思う部分があったから。 だけどそんな心配はいらなかったかもな。 俺が見てきたコイツは自分が恥をかいても逃げるようなやつじゃなかったから。 ――以前、死神戦で舞が代償を損失した時もそうだった。 俺は初心者の舞を危険な目にあわせたことで朝霧を貶したが奴は動じなかった。 自分の力量や立場を理解した上で逃げない。 朝霧はそういうやつだ。
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