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「あの……舞さんの事で僕には絶対遠慮しないでくださいね」
朝霧はグーにした拳をギュッと握りしめている。
「……」
「……。僕は舞さんを本当に幸せにできないみたいです。……舞さんが幸せになれないなら僕が側にいる意味もないんです」
「おい、まさか……」
俺の次に続く言葉を遮るように朝霧は小さく首を横にふった。
「どこかに消えるって意味じゃないです。……ただ、僕には舞さんが誰を本当に必要としているのか。……それが分かってしまったから」
朝霧はとても辛そうな顔で俺を見た。
「……側にいる意味がないってのは?」
「僕が常にべっとりいたら舞さんが困るでしょう? ……これからは仲間として僕は彼女と接しなければならないんです」
「お前はそれでいいのか?」
「……僕は不本意とはいえ舞さんを傷つけました。でも舞さんは僕を許してくれた。……それだけで十分です」
朝霧はそれだけ言うと、俺に軽く頭を下げ走っていってしまった。
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