黒い炎

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その袋の中にはスプーン・保冷剤・珈琲ゼリー、この三つが入っていた。 珈琲ゼリーの形はちょっといびつだ。 舞の手作りか? 俺はスプーンを手に取るとゼリーをすくいあげ口に入れた。 ……っ!? 苦い。 あいつ何入れやがった? 俺は確かにブラックコーヒーは好きだが。 これはいくらなんでも……。 そう思うのとは裏腹に自然と自分の表情が笑顔になっていく。 舞がテンパりながらこれを作っている姿が目に浮かぶからだろうか? あいつの事だ。 多分、何回も失敗したんだろうな。 で、一番出来が良いものを俺にくれた。 ――そんなところか? 味はともかく舞が俺に作ってくれたって事が嬉しかった。 これはいつも朝霧に当たるポジションだ。 それが俺にきた。 期待して良いんだよな?
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