黒い炎

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仕事を全部片付け、俺は帰りの支度をする。 外に出ると辺りはもう暗い。 俺は駐車場に向かう。 その途中で舞がこちらに走ってきた。 「あ、あの」 「えっ、舞!?」 「すっ、すみません! ……あれ、食べました?」 舞の顔が赤い。 あれって珈琲ゼリーだよな? 「ああ、食べたが……なにか問題でもあるのか?」 すると舞は恥ずかしそうに鞄から珈琲ゼリーを取り出した。 「ご、ごめんなさい。あっちは失敗作で自分で食べようとしてたんです。本当はこっちを入れようと……」 そんなことで俺を待っていたのか。 でもそれも舞らしくて微笑ましく思えた。 俺はクスッと笑った。 「気にすんな。食える味だったしな。……そっちももらって良いのか?」 「は、はい!」 舞はホッとしたように笑みを見せると俺の前にゼリーを差し出した。
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