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「あの、杉浦さん。……何度も危ない所を助けてくださりありがとうございました」
俯いていた舞がいきなり顔をあげ俺にそう言ってきた。
「なんだいきなり。それは俺がしたくてやったことだ、礼はいいぞ」
……。
これは本心だ。
俺は見返りとかがほしくてやったんじゃねえ。
ただ単に好きな奴に死んでほしくなかったから。
だから俺の行動に舞が気付くとか気付ないとかはたいした問題ではなかった。
「……私、杉浦さんが命を張って助けてくれたこと。嬉しかったです。……杉浦さんが私を好きだって言ってくれたことも……正直言うとその……」
――!!
マジかよ。
舞は俺の事も見ていた?
単に俺が気付いていなかっただけ?
「舞……」
「あっ! でも……こんなの勝手すぎますよね。朝霧さんに今まで凄くお世話になったのに。だから彼の事を考えたら辛くて。……でも中途半端には付き合うこともできないし。……だから」
俺は舞が言おうとしていることが予想できた。
おそらく舞の気持ちは俺の方に揺れている。
だから朝霧とは付き合わない。
でも朝霧にはかなりお世話になってきた。
迷いに迷って答えがでない状況で。
こんな自分は中途半端で恋愛をする資格がないと思う。
だから誰とも付き合わない。
こんな所か?
だがよ。
それじゃあ俺の気持ちはどうなる?
朝霧がどうとかもう関係ねえだろ。
もうテメエは決断してるんだからよ。
朝霧とは付き合えないって……。
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