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「ただいま。」
家に帰ると、いつものようにお手伝いの亜紀さんが玄関で出迎えた。
「おかえりなさい、聡史さん。」
「あれ?今日はもうオヤジ帰ってるの?」
「…はい。佐多さんもいらっしゃってます。」
珍しい客だな。
俺はそのままオヤジがいる応接間に向かった。
「うぁあ~ん。」
応接間から女の人の泣き声が聞こえる。
何事?
俺はためらいがちに応接間のドアをノックした。
「聡史か?入れ。」
オヤジの声を聞いて静かにドアを開けた。
すると、オヤジの友人で作家の佐多亨氏とその妹で女優の万智留さんがいた。
万智留さんはまだ顔を覆って泣き崩れていた。
佐多さんは、万智留さんの背中を擦りながら
「聡史、久しぶりだな。驚かせて悪い。」
「ご無沙汰しています。で、いったい何事?」
そう言うとオヤジに
「聡史、とにかく座れ。今から説明するから。
お前にもちゃんと聞いてもらわないと困るから。」
って言われたからオヤジの横に座った。
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