聡史side

7/9
前へ
/391ページ
次へ
拝啓 万智留、元気か? 時々テレビのブラウン管を通して君を見ていたよ。 少し痩せたね。 ゴメン…黙って君の前から姿を消して 俺がバカだったんだ。 一日でも早く自分の本を出して万智留を喜ばせかったんだ。 有名な出版社から声をかけられて、ほとんど軟禁状態で原稿書かされて 気がつけば、俺の作品は別の作家の名前で 君に顔向けできない、裏の人間になってしまった。 昨日、その会社から足を洗った。 俺の名前で、今度こそ出版してみせる。 その日まで待っててくれるか? 俺がしたことは許されないかも知れない この出版社の事は、俺がゴーストライターとして書いた赤嶺悟の小説の中に 隠している。 たぶん、君の兄さんの友人の息子 聡史君なら、私の暗号を解いてくれるだろう。 これから書きためた俺の作品、別の出版社に見てもらいに行ってくる。 ゴメンな万智留 今でも君だけを愛している
/391ページ

最初のコメントを投稿しよう!

683人が本棚に入れています
本棚に追加