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俺と有さんの関係。
まだ俺が中学生の時、オヤジの病院に急性虫垂炎で入院した有さんを万智留さんから紹介された時から始まる。
俺は、母親を病気で亡くしたばかりで万智留さんが不憫に思ったのか、その頃よく可愛がってくれていた。
俺の容姿をみて、是非芸能界に入れと会う度に言われていたのもその頃だった。
有さんは万智留さんの彼氏で、派手な万智留さんの彼氏にしては静かで温厚な大人しい人だった。
甲斐甲斐しく有さんの身の回りの世話をしている万智留さんをみていると、本当に大切な人なんだって思った。そんな二人が微笑ましかった。
有さんは、話してみると気さくで本当にいい人だった。
そこで、有さんが作った小説を読ませてもらうのが一番の楽しみになっていた。
有さんが書く短編小説の中に、必ずある隠された言葉がある。
俺はその隠された言葉を探すのに夢中になった。
毎日のように有さんの病室におじゃましては、毎回有さんの出す暗号を解いては楽しんでいたんだ。
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