赤い万年筆

いずみside

もう、今日は大学休もう！

友里恵に大学休むことをメールして、机に座る。

恐る恐る赤い万年筆に手を伸ばす。

やはり手にしっくりと馴染む。

ノートを開いて自分の名前を書いてみる。

須藤いずみ

滑らかな書き心地。

インクの出具合も丁度いい。

私は、大きく一度深呼吸してから右手に向かって心の中で声をかけた。

坂下有さん？

分かりますか？

するとまた右手は勝手に動き出した。

やっぱり夢じゃなかったんだ。

かわいらしい名前ですね

私が書いた名前…分かったんだ。

体は大丈夫ですか？
無理させてゴメンなさい。

なんとか…ね！
まぁ…昼まで寝てたみたいですけど。

スミマセン、なるべくいずみさんの私生活に支障をきたさないように気をつけます。
いずみさんも、なるべく私との通信も必要最低にしていただけたらと…

はい…

今日は原稿書くのはやめにしましょう。
先は長いですから。
それと、万年筆のインクも少なくなっていますし。

あ、そうか！

インクも買いに行かないと

いずみさん！この万年筆は特注品なんでインクの購入も売っている店も限られています。
申し訳ないんですが私のいきつけの店で購入してもらえませんか？

どこそこ？

今から店の地図を書きますので

また私の右手は忙しなく動き出した。