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私は、有さんが書いてくれた地図を片手に家を出た。
正確に言うと有さんの意志に従って私の右手が書いたメモだけど…
几帳面な性格なんだろう…線もまっすぐで最寄りの駅の名前からその目的地の店まで、ポイントとなる店などの名前まで丁寧に書き込んでいる。
初めて行く街ではあるが、よほどのことがない限り道に迷うことは無さそうだ。
私は難なく目的地である文具店に辿り着いた。
その文具店は、有さんの地図が無いと見落としそうな路地の裏の突き当たりの奥にあった。
まるでそこだけ時代から切り離されたようなレトロでこじんまりとした店だった。
いいわけ程度な古めかしい看板。
小さい店内にところ狭しと商品が並んでいた。
「ごめんください。」
私は、ためらいがちにそう言いながら、体を横にしないと進めない陳列棚の間を通って店の奥へと入って行った。
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