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何となく気まずい空気が流れる。
嫌味を言われない前に帰ろう、と思ったのに……
「早いじゃん。もしかしてデートとか?」
私に相手が居ないと知っていながらの、この嫌味。
坂口くんの嫌味なんて今に始まったことじゃないし、いちいち真に受けて言い返すだけ無駄だって分かっているのに、つい反応してしまう私。
こんなだから毎回毎回、坂口くんの格好の餌食になってしまうのだろう。
「そんな……」
そんなわけないでしょ?―――言いかけたけどギリギリのところで、その言葉をのみ込む。
―――悔しかったから……
そして不意に村井さんの顔が浮かんでしまったから……
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