341人が本棚に入れています
本棚に追加
「何もないから聞いてるんじゃない。て、黙ってるけど凜子は最近どうなのよ」
変わりない二人の様子に一人和んでいると、不意打ちとばかりに私に矛先が向けられた。
「どうって……。勿論、何も……」
いつものように答えかけた途端、何故か村井さんのとの事が脳裏に浮かび、私の言葉を止めた。
「何よ。-――もしかして何かあるとか!?」
こういうことには察しが良い二人が声をハモらせると私を食い入るように見てきた。
「何もないよ……」
あまりの二人の迫力にかすかな恐怖を感じながら何とか取り繕い答えるが
「本当に?隠し事はなしだからね!」
すかさず入る疑い深い智子からの念押しに、今更、村井さんの事を話題としてでも絶対に言えないって思ってしまった。
.
最初のコメントを投稿しよう!