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     メグは動揺で震える声を沈め、声を絞る。 「・・・大丈夫、ですから。」  早瀬はにべもない口調で言う。 「お前が片付けると、なくなるだろうがっ!!」  激務であまりに疲れていたせいで、資料を間違えて捨てたり  他に混じって分からなくなる、なんて凡ミスが続いた後では  さすがのメグも何も言い返せない。  それでも、ぷぅー、と頬を膨らませ、不服が顔に出る。  確かに足りないかもしれない。  でも、メグなりに精一杯頑張っている。  なのに、・・・なのに。  メグは自分の怒りに精一杯で、  早瀬がいつものような不機嫌な顔ではなく  小さく笑っていることに気がつかなかった。
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