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【カラダの関係】
好きな人に好きな人がいた。
好きな人に恋人がいた。
好きな人に告白した。
好きな人にこう言われた。
「俺達の関係は秘密にしよう」
沈めた腰に突き上げる飛沫。
揺れる肢体に絡み付く欲望の塊は、ふたつの身体を結び付ける。
ただただ乱暴に、貪るように。
欲に溺れ、求め合うように。
潮の満ち引きは絶え間なく寄せては返し、引いては満ち、――ぽっかりと空いた穴を埋めるようにして、ただただ奥まで続く快楽の波に溺れ、流されてゆく。
唇は愛を呼ばず、ただひたすらに欲だけを満たすだけの人形となって。
――そうしてもう三年もの年月が流れていた。
仕事上がりのアフター、アタシは黒バーキン片手に颯爽とスターレッドのヒール音を廊下に響かせ、急いだ。
「咲彩(サーヤ)さん、お疲れー」
ネオン街に躍り出た辺りで、客引きのボーイがアタシに向かって一礼した。
「サクヤ、あんたも頑張んなさいよ」
パリッと糊を効かせたビロードのスーツ、黒いシャツに赤の彩りを覗かせたサクヤはまだまだ新人のホストだ。
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