12人が本棚に入れています
本棚に追加
――ジングルベル、ジングルベル
鈴が鳴る――
まるで星が降り注いだような街。
チカチカと点滅し、通りを彩る電飾。
赤と緑の絶妙なコントラストが至るところで躍り、大通り沿いの店が客寄せのパフォーマンスを始める夜の繁華街。
「うわ、さっみ!」
繁華街の一角にぽつんと置かれた予備校のテナントが入ったビル。
階下へのエレベーターから外へと身を踊らせた俺は中との温度差に、思わずそんな声を上げた。
吐く息の白さに、じんじんとかじかむ手を晒し、幾分かの暖を取る。
首をこれでもかとぐるぐるに巻き付けた千鳥格子のマフラーの隙間からも寒気は容赦なく侵入してくる。
このままいくと、鼻の頭が赤くなるのも時間の問題だろう――そう思いながら、着なれた制服のブレザーのポケットに両手を突っ込み、とぼとぼと帰途についた。
最初のコメントを投稿しよう!