第1話

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深夜23時半。 こんな時間にいったい誰だ? なんて思いながらも布団からモゾモゾと抜け出し玄関に向かう。 扉を開ければ、そこには、黒猫がトレードマークの某運輸会社の服をきたオッサンが一人、満面の笑みを浮かべて立っていた。 本当に気持ち悪い位の笑顔で。 「夜分遅くに失礼します!お客様にお届け物です!」 ハキハキとした声でお決まりのセリフを吐くオッサン。 失礼だと分かっているなら少しは声のトーンを下げてほしいものだ。 下手したらご近所さんから苦情がきてしまう… ていうか、本当に遅すぎないか? なんて事は勿論言えず、変わりに一言、ありがとうございますと若干の皮肉を混ぜた笑みと共に言葉を返し、渡された荷物を受け取った。 いやこれを荷物と言っていいのかどうかすら微妙だ。 だってそうだろ――渡されたのはたった一枚の茶封筒なんだから。
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