序章:暗闇の中の名もなき少女

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湿って薄汚れている小さな檻のような部屋にまだ10にも満たさないような幼い少女がいた あちこちにキズのある身体を丸め、こぎざみに揺らしながら粗末なベッドで寝ていた カツカツ…… こちらの方に向かって来ているのか音がどんどん大きくなる、 音がない室内には重く響く―― その音で少女は目を冷まし、“音”が自分のところに来る前に素早く“鉄格子”の扉の前に立つ 少女は少しでも遅く来ることを望む ―恐怖が避けてくれるようにと だが、その細やかな願いは聞き届けられずその音の人物は真っ直ぐに少女の鉄格子の前に来た 分かっていた………………………何故ならその空間には“内”の少女と“外”の武装した――明らかに味方でない者達数人しかいないのだから でも……………《この日》は来て欲しくなかった…… 《この日》ダケは…………… カツ… その人物は立ち止まり、錠を外し錆び付き嫌な音を立てるドアを勢いよく開けた .
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