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 一通りオリエンテーション的なものも終わり、あとは午後からの部活説明会のみ。  これは自由参加になっている。  夕夏は覗いてみようとは思っていたが、どの部に入るのか、そもそも部活をやるのかやらないのかもまだ決めていなかった。  にわかにクラスの椅子が動き始め、高校という新しい場所で、各々が初日の居場所確保に動き始めた。  と、夕夏は邪推していた。  夕夏は入学前から決めていた。  もう友達ごっこはしない。  そりゃもちろん仲の良い子はいたし、誰にでもうわべだけで接しているつもりはないけれど…  でも私に親友はいない。多分、原因は私だろう。私の接し方に人との距離を取らせてしまう何かがあるんだろう。  高校デビューってわけじゃないけれど、素の自分を出せるように生まれ変わりたい。  ……何か変?素の自分なんだから生まれ変わらなくてもいいのか。。  この学校のクラブ一覧が載った小冊子を、ぼーっと眺めている夕夏に、那奈が声を掛けてきた。  「市井さんは部活どうすんの?」  「えっ…全然…未定」  「そっかぁ。よかったら一緒にさがさない?」  「あ…うん…」  「じゃあ昼御飯も一緒に食べようよ。」  「あ…うん…」  「大丈夫?おんなじ中学校の子と約束とかしてないの?」  「あ…うん…」  「え?してるの?」  「ううん、してないから大丈夫だよ。」  「そっか。じゃあ早速行こうよ。」  「……」  「私の憧れの場所ね。」  「憧れ?」  「ザ・食堂でーす。」   
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