1人が本棚に入れています
本棚に追加
一通りオリエンテーション的なものも終わり、あとは午後からの部活説明会のみ。
これは自由参加になっている。
夕夏は覗いてみようとは思っていたが、どの部に入るのか、そもそも部活をやるのかやらないのかもまだ決めていなかった。
にわかにクラスの椅子が動き始め、高校という新しい場所で、各々が初日の居場所確保に動き始めた。
と、夕夏は邪推していた。
夕夏は入学前から決めていた。
もう友達ごっこはしない。
そりゃもちろん仲の良い子はいたし、誰にでもうわべだけで接しているつもりはないけれど…
でも私に親友はいない。多分、原因は私だろう。私の接し方に人との距離を取らせてしまう何かがあるんだろう。
高校デビューってわけじゃないけれど、素の自分を出せるように生まれ変わりたい。
……何か変?素の自分なんだから生まれ変わらなくてもいいのか。。
この学校のクラブ一覧が載った小冊子を、ぼーっと眺めている夕夏に、那奈が声を掛けてきた。
「市井さんは部活どうすんの?」
「えっ…全然…未定」
「そっかぁ。よかったら一緒にさがさない?」
「あ…うん…」
「じゃあ昼御飯も一緒に食べようよ。」
「あ…うん…」
「大丈夫?おんなじ中学校の子と約束とかしてないの?」
「あ…うん…」
「え?してるの?」
「ううん、してないから大丈夫だよ。」
「そっか。じゃあ早速行こうよ。」
「……」
「私の憧れの場所ね。」
「憧れ?」
「ザ・食堂でーす。」
最初のコメントを投稿しよう!