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部活説明会が始まった。
先生が簡単な挨拶をした後、各部の主将が舞台に登場してアピールする。
どれもこれも杓子定規なアピールで、夕夏は無駄な説明会だなと辟易してしまった。
隣の那奈も退屈そうだ。
「市井さん、もう出よっか。。」
「だね。あんま意味なかったね。でも女バスだけ見てっていい?」
「うん、分かったよー。バスケ興味あんの?」
「うん、ちょっとね。」
夕夏はあの人が出てくるのを何となく期待していた。
しかし、結局出てきた主将は別の人だった。
夕夏は苦笑した。入部するには不純な動機過ぎるか。
でもあんな人と同じ場所にいたら、自分も少しは変われるだろうか。
体育館を出て、二人はもう帰ることにした。
「どうすっかなー、バイトすっかなー。市井さんは決まった?」
「うーん…」
「まぁのんびり決めるかにゃっと。市井さん、今日はありがとねー、楽しかったよ。」
「私こそ…」
「市井さん、電車?」
「うん。」
「私、自転車なんだ。じゃあまた明日ね、バイバイ。」
「あ、そうなんだ。うん。」
バイバイと言いかけて、夕夏はある事に気付いた。
今日、私から一言も話しかけてない。。
自転車置き場に向かう那奈の後ろ姿を見つめながら、夕夏は後悔した。自分を嫌悪した。
母の言葉がよぎる。
「あなたいい加減人付き合い覚えなさい。」
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