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 夕夏と那奈は、靴を上履きに履き替えた後、3階の教室に向かう所だった。  後ろから声をかけられた。 「市井さん!」 「はい」  振り返ると、朝練終わりの女バスの先輩方3名。 「あなた何部?」 「私ですか?」  夕夏が謝ろうとするより早く、那奈に話しかけてきた。 「軽音ですけど…」 「そう、じゃあ市井さんも軽音部に入ったのかな。」 「いえ、私は…」 「まぁ強請じゃないからね、かまわないけど。マイペースと自己チューは別物だよ、市井さん。」  そう言い放って、先輩たちは去っていった。 「何あれ?話には聞いてたけど、最悪じゃん。」 「まぁね。女はやだね。」 「喋ってたのが片桐?」 「そう。3年いなくなってから、さらにネチネチだわ。」 「男バスは仲いいよねぇ。」 「そうかなぁ。」  夕夏は、正義が2年生の先輩の愚痴を言っていたのを思い出していた。 「だって3年生が後輩と食堂でご飯なんか食べないよフツー。」 「あぁ、今の3年生が特別なんだよ。男子も女子もね。格がちがう。」 「確かにオーラ違うよね。あの人、超キレイじゃん。名前分かんないけど。モデルみたいな人いるよね」  河野先輩でしょ?  那奈に言おうとした所で、二人は教室に着いた。  夕夏は席についた。  正義はまだ来てなかった。
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