8人が本棚に入れています
本棚に追加
その日。
何時ものように買い物をダラダラしていた。
仕事帰りのサラリーマンがお惣菜を選んでいる。
学生がお菓子を物色中。
値下げ商品目当てのおじさんが、かごイッパイに半値食品を詰め込んでいる。
そんな中、私はリンゴを購入すべく青果コーナーへぶらり旅。
ここ数年で定着した感じの農家さんの名前いり商品。〇〇さんちのきゅうり、とかトマトとか。
私のお目当てのリンゴもそんな仲間だ。
鈴木さんちのリンゴ。
田中さんちのリンゴ。
二種類ある。
品種は同じだか家柄がちがう。前の年はなぜか、鈴木さんちのリンゴを好んで食べていた。
味に大差はない。
ただ、なんとなく鈴木さんな気分だった。
なので、公平を期すため今年は田中さんちのリンゴを選ぶことにしていた。
鈴木さんにも田中さんにも別段思い入れはない。
田中さんちと鈴木さんちは隣同士に陳列されている。
売り場に近づくにつれ、大きな声で会話がされているのに気付いた。
鈴木さんちの鈴木さんが、リンゴを並べている!
去年お世話になった鈴木さんが、鈴木さんちのリンゴを…。
なんだか嬉しくなり売り場に近づいた。
鈴木さんは誰かとお喋りしている。
リンゴを並べる手を休める事無く、誰かと話をしている。
鈴木さんはあるおじさんとお喋りしていた。
最初のコメントを投稿しよう!