第3話

4/6
前へ
/6ページ
次へ
その日。 何時ものように買い物をダラダラしていた。 仕事帰りのサラリーマンがお惣菜を選んでいる。 学生がお菓子を物色中。 値下げ商品目当てのおじさんが、かごイッパイに半値食品を詰め込んでいる。 そんな中、私はリンゴを購入すべく青果コーナーへぶらり旅。 ここ数年で定着した感じの農家さんの名前いり商品。〇〇さんちのきゅうり、とかトマトとか。 私のお目当てのリンゴもそんな仲間だ。 鈴木さんちのリンゴ。 田中さんちのリンゴ。 二種類ある。 品種は同じだか家柄がちがう。前の年はなぜか、鈴木さんちのリンゴを好んで食べていた。 味に大差はない。 ただ、なんとなく鈴木さんな気分だった。 なので、公平を期すため今年は田中さんちのリンゴを選ぶことにしていた。 鈴木さんにも田中さんにも別段思い入れはない。 田中さんちと鈴木さんちは隣同士に陳列されている。 売り場に近づくにつれ、大きな声で会話がされているのに気付いた。 鈴木さんちの鈴木さんが、リンゴを並べている! 去年お世話になった鈴木さんが、鈴木さんちのリンゴを…。 なんだか嬉しくなり売り場に近づいた。 鈴木さんは誰かとお喋りしている。 リンゴを並べる手を休める事無く、誰かと話をしている。 鈴木さんはあるおじさんとお喋りしていた。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加