二章・一話

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「あぁ。成る程」 「しかし、このモンスターの発生が気になるなぁ……。これは、王国に戻ったら即報告だな」 ファイルを閉じ、もとあった場所に戻す。 「この話は一旦終わりだ。では、二階の捜索に―――っ!」 その瞬間、ミュシルの表情が変わった。 「どうした、ミュシル」 ナナシはミュシルを名前で呼ぶ。 これは、ふざけていないサインの一つだ。 「ロビーから敵の気配。しかも、ゴーストリックとは比べ物にならない敵……行くぞ!」 敵を察知したミュシルは事務室から飛び出し、ロビーへと向かった。 するとそこには、二人の子供がいた。 「あら、もう見つかっちゃったの?」 「ニアが騒ぐからだよ」 少年と少女。 これが、気配の正体だ。 「ミュシル。こいつらは?」 「まずいぞ、これは。あいつらは《トリック・オア・トリート》と《ジャック・オ・ランタン》。どちらもランクAのモンスターだ」 「モンスター? 俺には子供にしか見えないが……」 「見た目は子供だ。しかし、厄介なのは――」 「それじゃぁ、恒例のお遊びを始めようか、ニア」 「そうだね、バーム」 少女の名前はニア。 少年の名前はバーム。 のようだ。 二人はニヤリと笑うと、空中に浮かび上がった。 そして、こう宣言した。 「じゃぁ、『かくれんぼ』を始めましょう」 The Next Story
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