二話

2/6
前へ
/819ページ
次へ
「か、かくれんぼぉ?」 「そ。かくれんぼ。ルールは簡単。ボク達を見付けたらお兄さん達の勝ち。見付けられなかったら、ボク達の勝ち」 ルールを聞く限り、普通のかくれんぼのようだ。 だが、こんな状況でかくれんぼをするつもりはない。 「はっ、馬鹿馬鹿しい。何で俺達がそんな――むぐっ!」 遊びを断ろうとした瞬間、ミュシルは小さな手でナナシの口を塞いだ。 そして小声で―― 「あなたは何も喋らないで」 と言ってきた。 口調が真面目だったので、ナナシは素直に言うことを聞く。 喋らないのを確認したミュシルは、陽気な声で二人に話し掛ける。 「それでいいぞ。で、君達の勝利条件だが、時間制限を設けなくていいのか?」 「んー。ボクは何分でもいいけどなぁ……。ニアは?」 「今は夕方。夜になるまで一時間。だから、制限時間は一時間」 「だってさ。他に聞きたいことはない?」 「商品を決めておきたい。我らが勝利した場合は、ここから出してほしい。君達が勝利したら、何でも言うことを聞こう」 「分かった。それじゃぁ、一時間経っても見付けられなかったら、ボク達の勝ち。見つかったらボク達の負け。商品はさっき妖精のお姉さんが言った通りに。じゃぁ、スタート!」 ポン! と音を立てて大きな時計が出現すると同時に、二人の姿は忽然と消えた。 そこで初めて、ミュシルは手を離した。 「すまないな、ナナシ。簡単にあのモンスターについて説明するが、いいか?」 「あぁ。説明してくれ。お前は理由もなくあんなことをするはずがないからな」 「分かった」 ミュシルはあの二人について、ナナシが納得するように説明した。
/819ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加