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「か、かくれんぼぉ?」
「そ。かくれんぼ。ルールは簡単。ボク達を見付けたらお兄さん達の勝ち。見付けられなかったら、ボク達の勝ち」
ルールを聞く限り、普通のかくれんぼのようだ。
だが、こんな状況でかくれんぼをするつもりはない。
「はっ、馬鹿馬鹿しい。何で俺達がそんな――むぐっ!」
遊びを断ろうとした瞬間、ミュシルは小さな手でナナシの口を塞いだ。
そして小声で――
「あなたは何も喋らないで」
と言ってきた。
口調が真面目だったので、ナナシは素直に言うことを聞く。
喋らないのを確認したミュシルは、陽気な声で二人に話し掛ける。
「それでいいぞ。で、君達の勝利条件だが、時間制限を設けなくていいのか?」
「んー。ボクは何分でもいいけどなぁ……。ニアは?」
「今は夕方。夜になるまで一時間。だから、制限時間は一時間」
「だってさ。他に聞きたいことはない?」
「商品を決めておきたい。我らが勝利した場合は、ここから出してほしい。君達が勝利したら、何でも言うことを聞こう」
「分かった。それじゃぁ、一時間経っても見付けられなかったら、ボク達の勝ち。見つかったらボク達の負け。商品はさっき妖精のお姉さんが言った通りに。じゃぁ、スタート!」
ポン! と音を立てて大きな時計が出現すると同時に、二人の姿は忽然と消えた。
そこで初めて、ミュシルは手を離した。
「すまないな、ナナシ。簡単にあのモンスターについて説明するが、いいか?」
「あぁ。説明してくれ。お前は理由もなくあんなことをするはずがないからな」
「分かった」
ミュシルはあの二人について、ナナシが納得するように説明した。
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