三話

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「……………………」 「……………………」 ロビーに戻った二人は、時計があった場所を見つめていた。 そこには時計は無く、代わりに二人の子供がいた。 ニアとバームだ。 二人はナナシ達を見付けると、楽しそうにクスクスと笑った。 勝利の余韻に浸っているのだろう。 ナナシは悔しさのあまり、拳を握り締めた。 「ボク達の勝ちだ。お兄さん達」 「おい待てよ。お前達は一体どこに隠れてたんだ!? どの部屋を探しても見つからなかったぞ!」 「それはお兄さんの探し方が悪いんじゃないのかな? ボク達は隠れた場所から一歩も動いちゃいないよ」 「だったら何処に隠れてたんだ」 「教えないよーだ」 バームは舌を出して小馬鹿にしたような態度をとってくる。 その態度にイラッときたナナシは、一歩足を踏み出す。 だが、それをミュシルが止めた。 「怒りを押さえろナナシ。私に策がある。お前はただ、話を聞いてるんだ。信じてるぞ」 「?」 ミュシルはナナシの代わりに前に出て、二人に話し掛ける。 「待ってくれ。お前達がその場を移動していないと言う証拠を見せてくれ!」 「証拠?」 「かくれんぼの基本ルールには、隠れた場所から移動しない、と言うルールが存在する。もし場所を動いたのなら、ルール違反で我の勝利だ」 諸説あるが、かくれんぼは基本的に、ゲーム終了までその場を移動しないのが決まりだ。 有って無いようなルールであるが、この場では大きな役割を果たす。 ルール違反で負ければ、こちらの勝ち。 「証拠ねぇ……ボク達を見つけられなかったからって、変ないちゃもんをつけないでくれるかな。そんなんじゃ、遊びも楽しくなくなるよ」
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