初恋の君に

2/2
前へ
/23ページ
次へ
部活の終わった夕暮れの弓道場 そこが僕たちのいつもの場所だったね どんな歌を聴いてるとか どんな映画を観たいとか たまに試験勉強したり その日は僕は椅子に座り  その横で君は床に座ってた いつもと変わらぬ時間 君を見ると頭が見えた そう 頭なんだ  頭しか見えなかった でも 何でだろう 無性に君が愛しくなって もっと君に近づきたくて 君の頬に手を回して上を向かせた 「ん?」と微笑んだ君の唇に僕は唇を合わせた 「ばかぁ!」ペシッと頭をたたかれた 二連射の即時報復に 意気消沈の僕 「ごめん…」って僕が言うと 「何で謝るの?」と君 怒ってない…のかな? 何か言ったと思うんだけど あとは覚えていないんだ 覚えてるのは すっかり日が暮れた道を 手をつなぎながら帰ったこと 君の前ではいつも かっこよくありたいと思ってたのに 今思えば凄いベタだね それが初恋ってものかな 時が経って思い出すと微笑ましくなる あれからどれほどの時が流れただろう 君は僕の知らない時を生き 僕は君の知らない場所にいる ただ 今は僕の知らない何処かで暮らす君が いつまでも幸せでありますようにと思う 
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加