第1話

2/19
前へ
/19ページ
次へ
灰色の雲がひろがる空から、山々に雨がふりそそいでいました。雨は山々の木々の葉っぱに落ちてポチャポチャと音をたてました。 大きな木の根元に寄りそうように、二羽の子ウサギがいます。男の子のウサギはポイといい、女の子のウサギはポピーといいました。 ポイは、白い毛のはえた耳をピクピクさせていいました。 「ねえ、ポピー。僕たち、いつまでも友だちでいたいねぇ」 するとポピーが、不思議そうな目をして、ポイを見つめて言いました。 「どうしたの、突然?」 ポピーの言葉を聞いて、ポイは、深くため息をついてしまいました。 「僕、嫌な夢を見たんだ。僕とポピーが、いつか、離ればなれになっちゃう夢。僕、とっても不安になっちゃったの」 ポイがそんなことを真剣そうにいったので、ポピーはクスッと笑ってしまいました。 「そんなの、夢のお話でしょ? 私たち、いつまでもお友だちでいるに決まってるじゃない」 ポピーがそう言うと、ポイは、何だか恥ずかしくなってしまいました。なぜ、恥ずかしくなったのかは、ポイにはわかりませんでした。ポイとポピーがおしゃべりしていると、そこへ、お婆さんウサギのソメ婆さんがやってきました。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加