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レイはこの状況が楽しくて仕方がない。とでも言うように笑いながら虚空に掻き消え、その光は俺の体に取り込まれた。
「気楽に言いやがって」
吐き捨てるように呟くと痺れに加え痛みも現れ始めた足を叱咤し、走り出した。
※ ※ ※
あれから一時間。
自分が致命的なミスを犯したと気付くのにそれほどの時間も必要無かった。
そして、この時点で絶望的な程時間は足りていなかった。
眼下に広がる広大な森を見下ろし振り返る。
辺りは無数の松明がチラチラと照らし、黒洞々たる空には三体のロック。そして後ろには、切り立った崖。
ここまで来ればどんなアホでも気付く。
不愉快な事だが、あいつらに嵌められたと言うことだ。
騎士の隊長であろう。長身で筋骨隆々の大男がうるさい声でがなってくる。
「アレク! お前は完全に包囲されている! 抵抗を止め、大人しく投降しろ!!」
……冗談じゃない。
俺は目の前に集まっている騎士達を睨み付ける。
「良いか、よく聞け。馬鹿なお前らの為にもう一度だけ言うぞ」
俺は大きく深呼吸し、
「俺は……」
――叫んだ。
「――悪魔に魂を売るつもりはない!!」
騎士達は呆気にとられるなか、隊長のみは怒りに震え、
「……ならば死ね! 鳥使い、殺れ!!」
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