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ここまでは御伽噺のような話かもしれない。
残念だったのは、姉に想い人がいたということと、東雲の若き当主の評判がすこぶる悪いということだ。
元々、東雲の妾腹で、しかも異国の血が入った混血児で、通常ならば絶対に当主になど立てる身分ではなかったのだが、東雲本家の男子が何らかの事情により死に絶え、
残ったのが、妾腹で混血の琢磨だけだったらしい。
本家男子達が死に至った原因は、公には明かされていない。
実は琢磨の陰謀ではないかという噂も囁かれている。
その東雲琢磨という男は、評判では鬼のような容姿の醜男らしい。
姉が泣いて嫌がるのも、無理はないのかもしれない。
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