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彼女はこちらを睨むこともなく、ごく普通に席についていた。
何か言われるのではないかと手に汗をかくことを感じながら、チラチラと彼女を見た。
彼女を見るたびに、胸が熱くなる。
嫌われたくないと思ったばかり。
……自分から謝らなければ。
そう思い、激しい鼓動の中、
「昨夜は失礼をした」
と低い声でそう告げると、彼女は少し驚いたようにこちらを見て、そしてクスリと笑った。
笑われたことに、カーッと頬が熱くなる。
それでも小さく笑った彼女の姿が愛らしくて胸が詰まる。
ばつが悪い中、彼女を見ると、
「いや、失礼。謝ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
と柔らかく微笑んだ。
礼を言われるようなことは何もないのに、それでも嬉しくてたまらなかった。
何より、彼女の微笑みがとても綺麗で。
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