第二話 想い ―琢磨―

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「翻訳をしているのか?」 突然そう尋ねて来た彼女に、ああ、と頷いた。 「母親が白人だからと当たり前のように仕事が来る。多少は出来ても、日本育ちだから、そんな簡単なわけでもないんだがな」 そう、そしてその母親は行方知れずのまま。 すると彼女は、ふぅん、と頷き、 「なるほど、そこの訳の解釈は間違っているようだ」 と指した。 その言葉に心底驚いた。 今の時代、英語が出来る女性はかなり少ない。 「英語が出来るのか?」 「自分も『多少』にすぎないが、良かったら手伝おうか?」 アッサリとそう言って身を乗り出す彼女。 近付いてくれたことに鼓動が強くなる。
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