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そうして、現れた彼女を前に、自分は言葉を失っていた。
上品な濃紺のドレスに白いフリル。
真っ直ぐにこちらを見据える冷静な目に、ゾクリとするような美貌。
―――こんなに美しかっただろうか?
一瞬、そんなことを思った。
夜会で見かけた彼女は、それは美しかったものの、それでも雰囲気は『普通の女』でもあった。
しかし、庭園で再会した彼女は、あの夜見かけた彼女とは別人のようだった。
触れたら怪我をするのではないかと思うほど、研ぎ澄まされた雰囲気。
漂う気品。
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