794人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
――
――――
――――――
パーティを終え、帰りの車中でただひたすら機嫌が悪い様子の暴君に、眉を顰めた。
「ご機嫌かと思えば、何をツンツンしているんだ?」
共に後部座席に並んで座りながら、腕を組んでそう尋ねると、
「別に」
と冷たい目でこちらを見据える。
どうやら彼は、随分な気分屋らしい。
しかし父も母も姉も気分屋だった為、気にもならない。
何を怒っているのか知らないが、怒らせておこう。
そう思い小さく欠伸をした。
「眠いのか?」
素っ気無くそう尋ねて来た彼に、ああ、と頷く。
「流石に疲れたな。
ああいう華やかな場は苦手だ」
「そうか?
男にも女にも囲まれて、随分楽しそうに見えたけどな」
「おかしなことを言うな。
楽しそうにしなければ、君に迷惑がかかるだろう」
そう言って横目で見ると、彼はバツが悪そうに顔を背けた。
彼の言動が時折、分からない。
最初のコメントを投稿しよう!