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彼はこちらを楽しそうに見たまま、小さく笑って腕を組んだ。
「今夜、綾部邸でパーティがあるんだが、お前にも同行してもらう」
よく聞く公家華族の名に、解せない気持ちで彼を見た。
どうして、自分も同行しなければならないのか。
もしかして女装して同行しろと言っているのだろうか?
正体が露見した今、改めて女装するのは、痛々しいな。
そんな自分の心中を察したのか、
「そのままの姿でいい」
と付け加えた。
「このままで?」
「ああ、面白いことがある」
と彼は不敵に微笑んだ。
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