第三話 露見 ―睦月―

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「お前はちっとも父親に似てないんだな」 独り言のようにそう告げた琢磨に、 「僕も姉も母親似でね」 と腕を組んだ。 「母親はさぞかし美人なんだろうな」 「父が見初めて、金を物を言わせて嫁にしたらしい」 「なるほど」 そう言って笑う。 「……君が姉を待ってくれると聞いて本当に嬉しかった。心から礼を言う」 そう告げて頭を下げると、彼は遠くを見るように目を細めた。 「俺としても、確かめたい」 「何を?」 そう尋ねたが、それについては彼は何も答えなかった。
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