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屋敷に戻ったあとは、まるで自分を無視するかのように振る舞う彼の姿に解せなさを感じながらも、それほど気にも留めずに入浴し、図書室に立ち寄って本を選び、そして寝室に向かった。
自分の部屋の前まで来てドアノブに手をかけたとき、隣の部屋のドアが開き琢磨が姿を現した。
「……来いよ。
充分、時間は与えただろう?」
冷たくこちらを見据えながら、そう告げた。
そうか、彼がまだそのつもりだったとは思わなかった。
小さく息をついて、そのまま彼の寝室に入る。
すると勢いよくベッドに身体を押し付けられた。
怒ったようにこちらを見下ろす。
「……だから君は、何を怒っている?」
「別に?ただ、もう二度とお前をパーティに同行させないと決めた」
顔を歪ませながらそう言って、乱暴に唇を合わせる。
「パーティ等、元々好きではない。
同行せずに済むなら、こちらも助かる」
唇を離すなり、そう告げると彼はどこか拍子抜けしたように眉を下げた。
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