798人が本棚に入れています
本棚に追加
――――佐和……。
何度も思う。
手紙を受け取ったときに、すぐに君の元に駆け寄って、何もかも捨てることが出来たならと。
初めて気付いた自分の想いに、ただ呆然とするばかりで、何の思考も働かずに悪戯に時を過ごした。
あの時に、あの時に、と何度も何度も繰り返しながら。
「それから、僕は更に抜け殻のようになった。
愛する人の為に何一つ出来なかった自分だ。誰かを愛する資格等ないと」
どうしてこんなことを話すのか。
誰にも打ち明けたことがないのに。
涙が止まらない。
最初のコメントを投稿しよう!