795人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
しかし思ったより乱暴にはされなかった。
あの暴君は怒りに任せて、もっと酷なことを強いて来そうだと思っていた。
そしてやはり悪名高き女好きの当主とだけあって、そうした行為に慣れているとも思わせられた。
そんなことを思いながら、身なりを整えて全身鏡の前に立った。
スーツ姿に、髪の短い、本当の自分。
乱れた髪を手ぐしで整える。
ふとテーブルの上にメモがあることに気付き、それを手に取ると『ダイニングで待つ』と書かれていた。
そこで我が間宮家に対して、どんな宣告を受けるというのか。
そして、この部屋の外では、一体どんな騒ぎになっているのか、想像もつかない中、グッと手を握り締めてドアを開けた。
最初のコメントを投稿しよう!