第三話 露見 ―睦月―

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何も言わずにいると、彼は楽しげに笑みを浮かべたまま使用人達を見た。 「皆、驚いただろう? 我が東雲家に来た弥生殿は、男だった。 東雲弥生は『事情』により、うちに入ることが遅れることとなり、その時間稼ぎにそっくりな弟が女装して来てくれたというわけだ。 彼の本当の名は、睦月。 間宮睦月だ」 ハッキリとそう言った琢磨に、使用人達は流石に動揺を隠せずザワザワと騒ぎ出した。 「こんな侮辱はないと思ったが、真摯に許しを請うた彼の姿勢に免じて許そうと思った。 本物の花嫁・弥生殿が来るのを待つとしよう。 そして、大変優秀な彼にはそれまでの間、自分の秘書を務めてもらいたいと思う」 手を組んだまま、微笑んでそう言う。 その言葉に、思わず力が抜けるような気がした。 助かった。 ―――自分も、そして間宮家の将来も助かったのだ。 胸を撫で下ろすような気持ちで深く息を吐いた。 「ありがとうございます」 深々と頭を下げた自分に、琢磨はただ不敵な笑みを返した。
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