第四話 背徳 ―琢磨―
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綾部氏は自分の鞄を膝の上に置き、パチンと開く。 何を取り出そうというのか。 財布を取り出して、金をチラつかせるような真似をしたら、例え公家華族であろうとも許しはしない。 そう思っていると彼は、文庫本を取り出して、睦月の前に差し出した。 睦月はそれを受け取り、表紙を確認して、 「ルイス・キャロルですね」 と冷静に呟いた。
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